日常に潜む些細で不可思議な出来事── あなたは「ふしぎ工房」を見つけることができるでしょうか? <物語> ──久しぶり。もうだいぶ会ってないけど、元気にしてる? 親友からの手紙。その返事をポストに投函して、空を見上げた。ふと飛行機雲の向こうに、彼の顔と懐かしい郷里の風景が浮かんだ。 彼と出会ったのは、小学校五年生の時。転入生として紹介された彼は、重度の小児麻痺で、しかも生まれながらに心臓に疾患を持つというハンデを背負っていた。クラス委員長の僕は、一人ぼっちになっている彼に声をかけ、クラス全員に仲良くしようと呼びかけた。小、中、高と同じ学校に通い、僕達はお互いに支え合う存在になった。しかしその反面、彼の精一杯生きる姿と強い心が、僕にとって大きなプレッシャーとなっていった。 ──そして、卒業。それは僕達の別れを意味していた。僕達はある『記念品』を交換した。僕は進学のため、数日後に町を出た。 僕は都会で、すぐにも自分の無力を思い知らされた。学業でも、スポーツでも、そして生活でも……ここでは自分の力とちっぽけな自尊心がまるで通用しない。そのうち学校に行くのがおっくうになり、親には嘘をつき、アルバイトをしながら適当に生活していた。自分の挫折を認め、さらけ出す勇気がなかった。彼にさえ本音を語らなかった。 ある日、母親から思いも寄らぬ電話がきた。彼が危篤状態だというのだ。僕はアパートを飛び出した。駅に着いて、急いでタクシーに乗り込む。しかし僕が会うことのできたのは、もう冷たくなった彼の亡骸だった。 僕は自分の殻に閉じこもったまま、親友を失った──
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关联条目
- 其他 ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE2「女性恐怖症なおします」
- ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE3「ひとりぼっちの誕生日」
- ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE5「カネかえせ!」
- ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE4「一绪に死んでくれますか?」
- ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE1「君はダレ?」
- ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE6「クリスマスの出来事」
- ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE10「最後の願い」
- ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE11「闇」
- ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE12「ありがとう」
- ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE7「妹の遺言」
- ふしぎ工房症候群 朗読CD EPISODE8「オルゴール」