夏休みも終わり、何事もなく二学期が始まった。 駒井瑞希、16歳。高校1年生。人付き合いも音楽も広く浅くの世界の中で、 唯一ハマったのがAliciaだった。Aliciaの心地良い歌声と、規則正しい電車 の揺れに体を委ねながら、思い切り心を揺さぶられるようなこともなく、代わり 映えのない平凡な日々を過ごしていた。 ―― そう。“彼女”に出逢うまでは。 ふと目があった瞬間にからみあった、2つの視線。 縫い止められた視線の糸が解けた時、わたしの中で何かが始まっていた。
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