――僕らは死のうと思った。
いつかどこかで、僕という少年と、彼女という少女がしました。
名前はありません。二人には、この世になかったことにしたい名前しか持っていませんでした。口にするのも嫌な名前が記号として与えられています。
とまぁ、そんな名前が存在しても良いと誰かが許可してしまうくらいに、僕と彼女がいる世界は理不尽だらけでした。これが何かの物語だったらリアリティがないと誰かが言うでしょう。
けれども、残念ながら――その世界は彼らにとっては現実でした。
そんな世界の中で、惨めな日常を送っていた彼らですが。
……擦り切れてしまうような日々に耐えられなかったのか、自殺することを決意しました。
「一緒に死んでみようか」
「OK」
みたいな感じです。そこまでフランクではありませんでしたけども。
そうして、二人はその日の夜に、学校の屋上へと向かい――そこで時間を潰しながら自殺のタイミングを待つことにしました。朝になったら飛び降りるとかそんな感じで。時間を指定したのは、時限爆弾を仕掛けた的な犯行予告みたいな感じに格好を付けてみたかったからかもしれません。他の人にとってはどうでもいい話でしょうけども。
とにかく、二人は飛び降り自殺をすることにしました。
こうして。
学校の屋上で、終わりが始まったのです――。
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いつかどこかで、僕という少年と、彼女という少女がしました。
名前はありません。二人には、この世になかったことにしたい名前しか持っていませんでした。口にするのも嫌な名前が記号として与えられています。
とまぁ、そんな名前が存在しても良いと誰かが許可してしまうくらいに、僕と彼女がいる世界は理不尽だらけでした。これが何かの物語だったらリアリティがないと誰かが言うでしょう。
けれども、残念ながら――その世界は彼らにとっては現実でした。
そんな世界の中で、惨めな日常を送っていた彼らですが。
……擦り切れてしまうような日々に耐えられなかったのか、自殺することを決意しました。
「一緒に死んでみようか」
「OK」
みたいな感じです。そこまでフランクではありませんでしたけども。
そうして、二人はその日の夜に、学校の屋上へと向かい――そこで時間を潰しながら自殺のタイミングを待つことにしました。朝になったら飛び降りるとかそんな感じで。時間を指定したのは、時限爆弾を仕掛けた的な犯行予告みたいな感じに格好を付けてみたかったからかもしれません。他の人にとってはどうでもいい話でしょうけども。
とにかく、二人は飛び降り自殺をすることにしました。
こうして。
学校の屋上で、終わりが始まったのです――。