#1 - 2024-7-24 14:44
リゼ・ヘルエスタ (どこか遠くへ行く、あなたを信じます)
小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。
いかにもガガガらしい、変な作品。こういう唯一無二の物語を届けてくれるからガガガ文庫はやめられない。

砂漠化した世界×褐色ボディのまぶしい海賊少女×冷凍睡眠から目覚めたクールなニンジャ少年
=笑いあり胸アツありの王道冒険譚。
なんだこれは。こんな等式があってたまるのか。

あってたまるんです。ガガガ文庫ならね。

応募時点のタイトル『砂漠海賊レイメイ様の逆ハー冒険航海日誌!』が伝えるとおり、屈強なマッチョ・ハーレムを夢みて海賊をしている……という今日日めずらしいバリバリ肉食系ヒロインが魅力的。草も生えない砂漠の世界じゃ草食男子はお呼びじゃねえ——そう言わんばかりのレイメイ様の猪突猛進っぷりが、心地いいと感じてしまうのは私にマゾっ気があるせいでしょうか。

ぱっと見では情景が伝わってこないダブついた描写や、風呂敷を広げすぎじゃないかしらと思ってしまう世界観設定など気になる点は多いものの、裏を返せばそれだけ伸びしろがあるということ。次巻ないし次回作でも、ぜひ己が道を突っ走っていただきたい作家さんです。
#2 - 2024-7-24 21:24
(どこか遠くへ行く、あなたを信じます)
タイトルと世界観からすごく期待した新作。
悪くはなく、よくまとまっているとは思います。でも、2,3冊かけて描いていい内容を1巻に圧縮して描いているので、緩急がほぼなく急ばかりの劇場版、という感じで読み疲れました。
ベテランの文章力だけでポンポン読ませることができるほどではないのも原因のひとつでしょう。
もうちょっと時間かけて敵との因縁やキャラ掘り下げ、徐々に敵の戦力を削るとかを描けば、悪くないキャラ造形なので、読者にもっと思いいれとかできたと思います。
舞台となる世界が広いので、まだまだ物語は描けるでしょうが、ラスボスともいえそうな相手との対決やキャラ伏線をだいたい1巻で終わらせてしまったのは勿体ないと思います。
まあ今のご時世ですから1巻で新人新作の全部を詰め込むというのもアリでしょうけど。

今回は事件の騒動が多く、じっくりしたキャラの感情面でのやりとりや繋がり強化のドラマ性が弱いので、今回のアクション映画のような展開より、そちらを強化した話が次は私は読みたいと思いました。

作者さんの伸びしろや舞台となる世界からまだ描こうとおもえば描けることはあるでしょうし、今回そこそこの出来なので、次もあるようなら期待してみたいです。