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記錄用 『子供向けアニメは窮屈だけど』

成田良美・著  摘自《だからアニメシナリオはやめられない》(小山高生・編 2012.9)
原文撰於《月刊ドラマ》2007年1月号

アニメと一口に言っても社会派なものもあれば、マニア向けもあり様々ですが、比較的に私は低年齢の子供向けのアニメを書くことが多いので、それについて思うことをば。
新番組のお披露目親子試写会へ行ったときのこと。親が同伴でなければ来られないような、幼稚園に行ってるか行ってないかくらいの子供たちを対象にした試写会です。
子供たちは主題歌がかかれば歌って踊りだし、主人公たちに頑張れと両面に向かって声援を送り、満面笑顔でお祭り騒ぎ、一回観ただけなのに、もうキャラクターの名前をしっかり覚えているし、一緒に来た友達となりきりゴッコをして遊んでいました。楽しんでもらえたんだなと嬉しく思う反面、ものすごい影響力ながあるんだなと恐ろしくも思いました。そしてひとしきり楽しんだ子供たちは、会場の出口に並べられた新商品のオモチャに群がっていくのでした……。

アニメと商売、小山先生も最近のアニメを30分のCMと憂えてらっしゃいましたが、この二つは密接につながっております。オモチャありきで立ち上げられる番組もありますし、「今度こういうオモチャを発売するので、アニメで出してください」という要求をされて、新しい商品を出すために、物語の展開を変えることも少なくありません。これを私はオモチャ問題と呼んでおりますが、なかなか頭の痛い問題であります。
重要なのは人間ドラマ、オモチャなんてどうでもいいじゃん！と叫びたいこともありますが、そうも言ってられません。なんてったって、関連商品が売れないと番組が打ち切られてしまいます。売れ行きが番組の存続に直結するのでやっぱり売れてもらわないと困るわけで。
少子化で子供の数は減っていますが、祖父母両親を四つの財布と称するように、一人の子供が使うお金は増えているようです。そんな子供たちには、無駄遣いはダメよ、我慢しなさい、と教えなきゃいけないと思うのですが、今のアニメではなかなか表現しにくい教訓ですね。

以前、ささやかな抵抗に、さりげなーく浪費をたしなめるセリフを書いたのですが削除されてしまいました。ちぇっ。
そんな黒い一面を持つ世界、今の子供アニメ業界でオモチャ問題はどうあがいても避けては通れない道であります。脚本家には人間ドラマを書く感性や技量が必要ですが、うまくオモチャ問題をクリアする技術も今のアニメ脚本家には必要なのかもしれません。
しかしオモチャ問題よりも気がかりなのは、脚本を書く上での禁止事項が増え続けていること。いわゆる放送禁止用語に加えて、子供アニメ禁止用語があります。
幼い子供が観ているアニメは一緒に大人も観ており、子供に悪影響があると思われるセリフやシーンがあると、親御さんや教育関係の方々から苦情がきます。対応はテレビ局や番組によって異なりますが、たいていは苦情に敏感に反応し、苦情のあった単語は以後、使用禁止用語となります。去年は使えた言葉が今年は使えなくなったということも珍しくありません。

もちろん視聴者の意見に配慮しなくてはいけないし、細心の注意をもって気をつけていますが、なんでこの言葉が駄目なんだろう？と思うこともかなり多いです。
他にも、殺人、誘拐、虐待、いじめなど、現実でひどい事件が起こるたび、それらを連想させる描写が禁じられ、日々禁止事項が増えていきます。
アニメは娯楽ですが、今は『安心』が求められる時代になっています。
親が子供に安心して見せられる作品にし、オモチャ問題をクリアし、さらに原作モノなら原作者や出版社の意向に添うよう要求され、本当にもう、さまざまな制約にがんじがらめ。
窮屈だなぁ、と思います。
でもストレス溜めながらも書き続けているのは、放送を楽しみにしている子供たちがいて、そしてやっぱり自分がアニメが好きだから。アニメ脚本家になって今年でちょうど十年になりますが、やめたいと思ったことはないですね。一瞬たりとも。
我が身を振り返ってみれば、子供時代アニメにはたくさんの夢や元気を与えてもらいました。その恩返しに、かつてもらった夢を今の子供たちに渡すつもりで、多くの制約にあがきながら心に響くドラマを書くべく戦っていこうと思います。

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原文是在Splash Star期間刊載，已經是17年前了呢。
時至今日希望這位女士還記得本文的內容。